日本監査研究学会

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会長挨拶

会長 松本祥尚(関西大学)

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 昨年9月に開催されました第44回全国大会におきまして、日本監査研究学会の第19代会長への就任をお認め頂きました。2020年度より新型コロナウィルスの影響下でのオンラインによる学会開催が続き、その中での会長就任となりましたが、この後の任期3年間、会員の先生方からのご支援とご指導により、会務運営に励みたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 本学会は1978年に創設され今年45年目を迎えています。これまでも多くの優れた研究成果が学会を経由して発表され、本学会は会員の先生方による活発な研究発表の場であると同時に、自由闊達な議論がなされる場となってきました。
 監査論が実学であることから、従来より公認会計士等の会計・監査専門職の先生方にも学会活動に積極的にご参加頂き、理論的な視点だけでなく実務的な視点からも学会運営がなされてきました。このような理論と実務の融合を可能とする場に学会がなることで、研究の発展や実務の進化に貢献できることを目標としています。殊に地域部会では西日本地域ないし東日本地域から、また全国大会では日本全国から会員が集い、書籍、論文、或いは雑誌記事等でしか目にすることのない会員や新進気鋭の会員による研究発表や討議を行ない知見と視野を広げることができます。こういった体験は、学会があってこその経験ですので、学会の魅力を維持し広く社会に敷衍していかなければなりません。
 今年度も既に7月には第45回西日本部会がオンラインで、第44回東日本部会が対面とオンラインのハイブリッドで開催されました。オンラインでも対面でも参加された会員の先生方には、実り多い統一論題報告になったことはいうまでもないと思います。その点、開催の重責を担って頂いた大阪産業大学と青山学院大学の先生方にはこの場を借りて御礼を申し上げます。また全国大会はオンラインにより関西学院大学で開催して頂く予定です。
 その中で特に印象に残ったのは、東日本部会の会場でそこここに自然発生した人の輪でした。2019年以来3年ぶりに東日本の様々な地域から集われた先生方が楽しそうに会話を交わされていました。いわゆるスモールトークを含む近況報告や情報交換といった直接的なコミュニケーションは、オンラインでは味わえない学会ならではの醍醐味であることを改めて痛感した次第です。この8月初旬に開催されましたアメリカ会計学会も対面開催の後、数日を置いてオンライン開催を加えました。このような動きも直接的なコミュニケーションの重要性を認識した結果と捉えられます。様々な制約条件の下で学会開催を担って頂く開催校の先生方に、無理強いすることはとてもできないことは重々承知しておりますが、オンラインを併用しながらも、こういった直接的なコミュニケーションをとれる現場主義的な開催の方法を探っていく必要性を感じております。
 一方、監査を中心とする保証業務を取り巻く環境は、その保証対象となる実態・情報ベースでも、高度化したデータ・アナリティクスによる監査手法ベースでも、さらには監査の結果を伝達する手段である監査報告書の拡張の面でも変革が進み、研究にも実務にも大きな影響を及ぼしています。本学会が対象とすべき研究領域は際限なく拡がっています。このような研究領域の拡がりにもかかわらず、友杉芳正先生が会長を務められた2010年度に会員総数488名(個人及び団体)を記録した後、2022年度実績で390名と減少しています。他方、実務界においては、市場インフラである監査制度を担うべき監査事務所からの若年層の「監査離れ」の問題に加えて、企業のグローバル化に伴うグループ全体に対する監査役等監査や内部監査の充実・強化の問題も喫緊の課題となっています。
 監査研究及び監査実務の魅力を向上させるためには、学会としての研究力のみならず教育力の向上を図る間断ない努力が必要であり、このような継続的な努力がひいては監査に対する社会的認知レベルを高めることにも繋がると考えます。特に不景気の後には不正会計の露見が多くなるという歴史的事実からすると、監査の重要性はこのコロナ禍の経過とともにヨリ一層高まることが予想されます。
 本学会が志向する監査研究の拡充と監査教育の深化を達成するために、与えられた3年間という期間で全力を尽くしたいと考えておりますので、会員の先生方のご協力とご指導を心よりお願い申し上げる次第です。
 会員の先生方におかれましては、本学会活動に対するご要望やご意見を、学会役員、事務局、事務連絡所までお寄せくださいますと幸いです。

(2022年8月記)

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