日本監査研究学会

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過去の会長挨拶
2006年10月

会長 八田進二(青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科教授)

 3年前の平成15(2003)年11月に会長を拝命してから、当学会の更なる活性化を図るための課題を掲げ、誠心誠意微力を尽くしてまいりました。幸いにも、その多くは、役員および会員各位の絶大なるご支援の下、実現の運びとなってきていますが、未だ実現できていない重要事項に「若手監査研究者養成に向けたプロジェクトの推進」があります。
  会計士業界においても、今後新たに始まる内部統制監査等の業容拡大とも相俟って、会計プロフェッションの裾野の拡大が重要課題となっていますが、われわれ学会としても、そうした将来の監査の世界を担う多くの、世界に通用する若手研究者を養成することが至上命令であると思われます。

  ところで、会則変更に伴って実施されました新制度の下での会長選挙におきまして、不肖私が続けて会長の職を担うこととなり、今年度の第29回全国大会(2006年9月)後に正式に就任いたしました。つきましては、われわれ学会に対して求められている更なる改革と、わが国の監査環境の整備ないし強化に向けた取り組みに対して全力を傾ける所存ですので、会員各位のご努力とご協力を合わせてお願いする次第です。

  わが国では、この2-3年を振り返るまでもなく、会計および監査をめぐるさまざまな不祥事が相次いで露呈したことから、「ディスクロージャーの番人」ともいえる監査人の信頼が大きく失墜したことが特筆されます。そのため、監査業務の品質の管理、並びに公認会計士全体の資質の向上が喫緊の課題とされ、昨年(2005年)10月には、「監査基準」および「中間監査基準」の改訂と、「監査に関する品質管理基準」の新設が図られることとなりました。加えて、本年6月には、わが国の法定監査のほとんどを担う4大監査法人の監査の品質管理に関して行われた公認会計士・監査審査会の検査結果が公表となり、多くの点で不十分さのあることが指摘されました。これを受け、金融庁は、この4大監査法人に対して業務改善指示の勧告を発することとなったのです。
  このように、公共の利益を保護すべく公認会計士監査の信頼性が大きく揺らいでいる今、われわれ監査関係者は、こうした問題を他人事と捉えるのではなく、一人ひとりが真摯にこの問題に対して取り組むことが求められているものと思われます。そのためにも、会員各位の監査研究に対する更なる研鑽と、監査実践に対する更なる信頼性の向上を中核として、監査制度の更なる発展に向けた学会としてのイニシァチブを発揮していくことが強く求められているものと考えます。

  会計および監査以外の世界におきましても、残念ながら、不祥事が後を絶たないというのが実情ですが、とりわけ、全幅の信頼を基礎として成り立つ監査にあっては、健全かつ信頼しうる経済社会の秩序を維持するためのお手本となるよう、今一度、監査関係者のプロフェッショナリズムに警鐘を鳴らしていただくことを強く要請いたします。
  信頼しうる健全な経済社会構築に向けて、われわれ監査学会の更なる発展を祈念するとともに、会員の皆様のますますのご活躍をお祈り申し上げます。
  これからの3年間、変わらぬご支援とご指導を賜りますよう、心よりお願い申し上げる次第です。

2006年10月

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