日本監査研究学会

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過去の会長挨拶
2008年8月

会長 八田進二(青山学院大学大学院 会計プロフェッション研究科教授)

 周知の通り、2008年4月より、金融商品取引法の下での上場企業に対する開示制度がよりいっそう強化されることとなりました。 その一つは、タイムリー・ディスクロージャーの観点から導入された四半期報告制度であり、かかる情報の信頼性を担保するために、 わが国では初めての公認会計士または監査法人による四半期レビューが義務化されました。二つ目が、従来の結果重視の財務諸表監査に加えて、財務報告プロセスの信頼性を高めるための内部統制報告制度が導入され、財務諸表監査に加えて内部統制監査が義務付けられたことです。なお、 四半期報告制度の導入後も、金融機関に対する中間財務諸表監査制度は残されていることから、 わが国では、年次の監査、中間監査、四半期レビューそして内部統制監査と、4種類の職業会計人による保証業務が制度的に混在することとなりました。そのため、これらの保証業務の信頼性の水準にはどのような差異があるのか、あるいは、その際に監査人の責任に軽重はあるのか、さらには、国際的な視点から見て、このような多義的なわが国の監査制度に問題はないのか等々、 われわれ監査研究者が究めなければならない課題は山積しているものと思われます。

  一方、信頼しうるわが国の監査制度の中核を担う監査法人に対する期待の表れとして、2003年についで2007年に改正された公認会計士法では、有限責任制度等を始めわが国の監査法人制度に対する大改革もなされたところです。
  このような社会的背景を裏打ちするかのように、わが国では初めてとされる、「監査法人」と題する経済ドラマがNHKにおいて全6回シリーズで放映され、高い視聴率を得たようです。これこそ、まさに、わが国経済社会において監査が果たすべき役割がいかに大きいかということを如実に物語るものではないかと思います。当然ながら、虚構の中での監査法人が扱われており、現実の姿とは大きく乖離するところも決して少なくはありませんでしたが、少なくとも、不特定の一般の人々の関心を呼び起こしたということの意味は極めて大きいものと思われます。

  他方、監査の前提となる会計基準については、もはや、世界において国際会計基準の優位が揺らぎないものになってきており、国際的にも高い信任の得られる会計・監査制度を構築するためには、会計及び監査の研究だけでなく、それぞれの教育の現場においても、こうした国際的な対応を率先することが不可欠に思われます。そのためにも、われわれ会計及び監査の研究者、教育者さらには実務家に求められている期待はきわめて大きく、また、果たすべき責任は大変重いものといえます。

  会員各位におかれましては、監査研究に対する更なる研鑽と、監査実践に対する更なる信頼性の向上を中核として、わが国監査制度の更なる発展に向けた学会としての責任を果たせますよう、より一層のご理解とご協力を賜りますよう、改めましてお願い申し上げるしだいです。

  願わくは、より多くの若き研究者及び実務家を輩出するとともに、国際社会で伍して活躍できる有為な人材を多く迎え入れることができますよう、魅力ある学会運営を目指して、微力を傾ける所存です。会員の皆様におかれましても、会計および監査社会の裾野の拡大に向け、絶大なるご支援を賜りますようお願いいたします。

2008年8月

 
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