日本監査研究学会

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過去の会長挨拶
2010年1月

会長 友杉芳正(早稲田大学大学院 会計研究科)

  私は、平成21(2009)年9月に開催されました第32回日本監査研究学会全国大会において、当学会10代目の会長(任期3年)に選出されました。伝統ある学会の会長に就任いたしますことは、大変光栄でありますが、同時に、学会運営の責務の重大さを痛感しております。

  学会が社会的に有意義な存在として、意味ある情報発信を行い、高く評価される必要があることは言うまでもありません。そのため、学会の活性化を積極的に図り、ますますの発展を企図する必要があります。昨今の監査を取り巻く環境が激変し、監査に対する厳しい評価、監視がなされております。世界的な流れとして、公共の利益の実現を果たす役割を担う監査への期待が大きくなってきております。監査が第三者評価機能を発揮し、健全な社会秩序形成の手段として、その役割を果たさなければなりません。

  会長立候補に際しての所信表明において、昨今の厳しい監査環境下で、コーポレート・ガバナンスの確立、国際的なコンバージェンスへの対応、監査の自律的充実化等が模索される中で、監査が多くの社会的負託に応える観点から、学会の組織運営の効率化、監査研究の深化、監査制度間の積極的な連携強化等を促進するため、「監査なくして健全な社会形成はなされない」をモットーに、環境変化に即応可能で、強固な監査体制の基盤造りの実現を目指し、微力ながら学会の発展に寄与しなければならないことを強調いたしました。そのため、少なくとも次の3点の実現に向けて努力いたしたいと思います。

  第1に、グローバル化が進展し、コンバージェンス(convergence)からアドプション(adoption)への潮流を避けて通ることができない状況の中で、新しい監査環境に即応できる体制が維持されなければなりません。会計レベルにおいて、国際財務報告基準(IFRS)の受入れが表明されており、それに対応した監査レベルの国際監査基準の受入れが早晩迫ってきております。伝統ある学会がグローバル化に乗り遅れることなく、更なる進展を図る上で、伝統的に良いものは当然踏襲し、継承・発展を図ることはもちろんのこと、新しい監査環境状況には、前向きの対応を積極的に果たしていかなければなりません。不変と変化の両面を意識した対応策を取る必要があります。

  第2に、監査研究の深化、監査実践の向上はもとより、監査教育の高度化にも、力が注がれなければなりません。研究水準は国際水準を維持する必要があり、それに合わせた監査制度論、実証論などにも、多くの課題が横たわっております。監査の研究者、実務家、教育者が一堂に会し、忌憚のない議論展開が行われることが必要であります。監査領域的には、公認会計士監査、監査役監査、監査委員会監査、内部監査人監査、監事監査など、多くの監査が実施されておりますが、質の高い監査を求め、垣根を越えた意思疎通、交流を図り、監査教育が実効的に行われる仕組み造りが必要であります。

  第3に、学会の活性化を図るため、監査研究の発信、監査方法の展開、課題別研究の支援など、監査上、意義ある内容には、正当な評価がなされるシステム態勢が必要であることは言うまでもありません。その中でも、今後の監査業界を背負っていく若手の人達を積極的に育成することが重要であります。若手が積極的に参加し、活発に意見が言える必要があるからです。学会における有能な人材が順調に育っていくために、インセンティブを与える観点から、監査関係者はもとより、若手の研究が促進される体制造りを構築する必要があります。

  以上、責任者として職務遂行に鋭意務めますが、会長職を支えて下さる執行部の皆様を始め、すべての会員各位におかれましては、当学会に対し、より一層の温かいご理解とご協力を賜りますよう、衷心よりお願い申し上げる次第であります。

2010年1月

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